東大寺南大門前の老舗奈良漬店
奈良漬の製造工程
1.酒粕の踏み込み
2.土用の粕出し
3.粕練り
4.塩漬
5.下漬
6.中漬
7.上漬
8.本漬
タンクの中へ木蓋を置いてその上に乗り、スコップで酒粕を出します。
「力」と「コツ」がいる作業です。
酒粕を漬種(つけくさ)にあわせ何種類かの酒粕を練り合わせます。酒粕の練り合わせ割合は漬種、時期によって変えております。
作物が収穫されて製品になるまでの標準的な工程を示します。【収穫後すぐ塩漬→下漬→中漬→上漬→本漬】
漬種により下漬を繰返すもの、上漬を繰返すものがあります。各工程1〜2か月間寝かせます(半年以上寝かすものもあり)。
⚫︎塩 漬
塩漬が完了したら酒粕で漬け込みます。使う酒粕は中漬で使用していた酒粕(中漬の抜き粕)を使用します。下漬の主な目的は塩抜き(脱塩)です。中漬の抜き粕を使用することにより徐々に脱塩ができます。また、中漬の抜き粕の旨みが漬種に移ります。
下漬が完了したら中漬を行います。中漬には上漬で使用していた酒粕(上漬の抜き粕)を使用します。中漬の目的は脱塩と調味です。調味の段階が加わることにより漬替えの時期、漬種により粕の量を変えます。
中漬が完了したら上漬を行います。上漬では新しい酒粕を使用します。漬種、時期に合わせ何種類かの酒粕を練り合わし使用する量も加減します。上漬以上になると漬込み作業には熟練した職人が従事します。漬蔵での保管も気を使うところです。上漬は脱塩も兼ねていますが、調味に重点を置いています。
上漬が完了したら本漬、仕上げの工程です(本漬も上漬と同様新しい酒粕を使用)。本漬も何種類かの酒粕を練り合わしますが、最後の味付けですので特に気を使うところです。上漬での漬かり具合、漬種の出荷時期に合わせ使用する酒粕の種類、量を決めるのは私が行います。当然、脱塩も行われますが脱塩しすぎてもいけません。この塩梅(あんばい)がむずかいのです。弊舗の奈良漬の塩分は市販奈良漬に比べ低いくらいで、2~4%位です。反対にアルコール分が高く6~7%くらいあります。塩分が低いのに保存性が良いのは、アルコール分が高いからです。この作業に従事するのは熟練の職人です。漬蔵での夏場の保管には気を使います。温度が高くなるとどうしても味付きが濃くなることがあるからです。
このように手間隙かけるとよくいいますが、手間という「職人の技」、隙という「時間」が奈良漬を漬けあげるのです。
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